ぽぽりんや潤子ちゃんたちは、はなぴょんと合体してココロ
だけになったときから、実際のカラダは火星基地の最上階
に残して時間のたびをしてきました。
いまぽぽりんたちにおこっているカラダの変化は、負の時間
によってココロが無制御に若返り、それが自己イメージに投影
されたものだったようです。
ぽぽりん、やどらん、潤子ちゃん、ランちゃん、はなぴょんの
5人は、それぞれ数個ずつの細胞にまで還元され、まるで
羊水に浮かぶように、時間の波間を漂っています。
やがて、細胞はただ1個にまで還元し、精子細胞が分離した
瞬間に、個体としての存在が消滅するでしょう。ココロの消滅
まで、残された時間はわずかとなりました。
(・・・もうだめぢゃ・・・)
かすかに残ったぽぽりんのココロは、とぎれとぎれに思考を続け
ていました。状況は絶望的なのに、小さなココロは未来への希望
と充足感で満たされ、シアワセいっぱいな気分です。
(・・・へんぢゃのう・・・これから消滅するというのに・・・)
同じとき、潤子ちゃんの細胞もシアワセに満たされていました。
(・・・これは?ああ、そうか・・・わたしがジッサイに生まれたときの
記憶?細胞ひとつひとつが憶えているの?・・・命は、生まれてきた
こと、そのものを嬉しがってるわ・・・・・・)
それは一点の曇りもない圧倒的な幸福感で、みんなは走り出したい
ような、大声で叫びたいような衝動に駆られ、しびれたような感覚に
包まれていきました。
細胞が少なくなるとともに、消滅を恐れる理性もなくなり、ただ抑え
がたい嬉しさだけがどんどん大きくなっていきます。
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